初めて「手術が必要です」と言われた時は、まだ夏まっさかり。
その時はすぐにでも手術するのかと思い衝撃を受けましたが、実際は、それから手術したのは半年以上後でした。
血栓を治し、術後の血栓予防のために静脈瘤の日帰り手術をし、リュープリン注射を始めるときには12月になっていました。
おかげで会社にはだいぶ前から報告することができ、ちょうど会社の繁忙期と重なることが予測できたので、これ以上担当件数を増やさない選択も早くからできました。
もう一つの準備であるリュープリン注射ですが、お医者さんからは肩に打つと聞いていたのですが、実際注射室に行くとお腹に打たれました。
肩痛そう。とおびえていましたが、おなかは脂肪のせいか痛みはたいしてなかったです。
この注射の役割は、女性ホルモンの分泌を止めて、通常50歳前後で訪れるであろう閉経の状態を作り、子宮や卵巣の腫れを小さくして、手術で引っ張り出しやすくする。ということでした。
つまり、更年期症状が出る可能性がある。ということです。
なので始まるときは結構不安だったのですが、3回に分けて徐々に症状が現れるから、症状が出たなと思ったらもう手術ですよ。と言われ、少し安心したのを覚えています。
実際、注射を打った後も最初の月は生理が普通に訪れました。
更年期障害に関しては、その時は特に何もないな。と思っていました。
しかし術後1週間ほどたった現在、あれは更年期障害だったな。と思う症状がいくつかあったことがわかりました。
いわゆるホットフラッシュ、そして睡眠の浅さ、右肩のこりでした。
その時に気づかなかったのは、一般的に言われているほどにはっきりとした症状ではなかったからです。
1日に数度急に体の体温が上がるのですが、汗がだらだらということはありませんでした。
手術前の2週間ほどは何度も夜目が覚めるのですが、不安だからかなとか、仕事に追われて外出が少ないから眠くないのかなとか思っていました。
ある時一定以上右肩が動かなくなった時も、寝違えたのかなと思っていました。
ホルモン療法を始めるとそれらの症状が消え、あれはやはり更年期障害と言われる症状だったのかな。と思ったのです。
最後のリュープリン注射を打つ日は術前検査もすると言われていたのでいつもより早めに病院に行きました。
術前検査も問題なく、あとは手術だけという話だったのですが、最後の最後に先生に、
一つ決めてきてください。卵巣は右を残す予定ですが、こちらも腫れてはいるため、取ったほうがいいと思います。今はホルモン療法があるから。飲むだけじゃなくてはったり、内ももに塗ったり。
卵巣の腫れは癌になったりしたときに、発見がしづらいから、再発とか卵巣癌になるとかいう可能性もとったらなくなるので。手術までに決めてたらいいです。
今回も子宮取りましょうの時のように、さらっと言われたのですが、かなりの衝撃でした。
卵巣取るなら全部覆るやん。と思ったのです。あとホルモン療法ってなに!?とも思いました。
家に帰って夕飯を作りながら頭はぐるぐるしていたのを覚えています。
えなんで?なんで最初から言わずにここへきてそうなった??
見解って変わるの?それとも少しづつわたしを慣れさせようとした?
混乱のままに、帰ってきた旦那にも話すと、旦那も困った顔をしていました。
そうだよな。旦那に話したところで、ここまで来たら私の問題か。と困った顔を見ながら思いまいした。
そこから手術までは10日ほど。会社の仕事を巻きで終わらせ、手術の準備をしながらも自分なりに調べて分かったことが2つ
①卵巣は沈黙の臓器と呼ばれていて、病気になったときの自覚症状が現れにくいということ。
子宮を取る私は生理とは決別するが、卵巣の腫れが再発したり、取り残ったりして万一癌に変わったときに卵巣はそのこと自体が気づきにくい。という特徴がある。
②ホルモン補充療法とは。
45歳で卵巣を取ると、50歳くらいにかけて緩やかに分泌が減るはずだった女性ホルモンがいきなりなくなる。これは閉経の時の状態にも似ていて、
男性は通常なだらかな下降線をたどるホルモンバランスが、
女性は生理の始まりと終わりにホルモンバランスが乱れ、心身に影響が出ることがある。閉経前後に訪れる体調不良を更年期障害と言い、卵巣摘出は人口的にその状態になることと同じ。
ホルモンバランスの乱れを整え更年期障害の症状を改善するために行われるのが、人工的に女性ホルモンを補充するホルモン補充療法。実際に閉経するであろう5年間くらいを使用めどとし、体調が戻れば必要なくなる。
ホルモン補充療法には現在3種類あり、飲み薬・貼り薬・塗り薬。
実際に補充するのはエストロゲンという女性ホルモンだが、この補充は子宮がんの危険性を高める為、通常は黄体ホルモンも同時に補充する。が、子宮を取り去る人は子宮がんの危険がないため、服用がエストロゲンのみで済み、少しお得感があるということ。
調べた結果、卵巣を取るといっても、ホルモン補充によりカバーできることはわかったが、実際どれくらいカバーされるのかがわからず、不安で決断できないでいると、たまたま会社の人で卵巣摘出経験のある方から話を聞くことができた。
その方は私と同じ年代、同じような理由で卵巣摘出をしたが、やはり不安であったため、片方残すことを選んだ。そのため更年期障害は軽度と言いわれ、医師の判断でホルモン療法はされなかった。
しかし、その方は思っていたよりも更年期障害の症状に悩まされていて、卵巣を療法取ることでホルモン補充療法をしてもらえるなら、今決断するなら卵巣摘出を選んだかも。とのいう貴重な体験談でした。
私はその話を聞くまで、一つでも残せば通常通りの生活ができると思っていたため、結局更年期障害に悩まされて一つ残してる理由がなかった。という将来は全く考えておらず、まさに目からうろこでした。
人口的に取ってしまっても、人口的に補充できて、問題ないなら合理的なのかも。
さらに調べると、ホルモン療法は美容法的な側面も持ち、だからと言って市販薬ではないので、みんなが気軽に試せるようなものでもないとのこと。(しかし初めて1週間現在、全くそのような効果の実感はなしです。残念ながら)
最後に医療保険のサービスで専門の方が電話で医療相談に乗ってくれるということを知り、卵巣を取ったらどうなるのかという不安を聞いてもらい、総合的に考えた結果、卵巣がなくなることの実害はおそらくホルモン療法によりほぼなくなるだろうという判断にいたった私は卵巣を取る決心をし、旦那にも伝えて覚悟を決めました。
そして最後の準備である大量の資料の準備。結構な量がありました。手術の同意書などのほかにも、入院食のアレルギー検査、高額医療申請書の準備、麻酔の説明や手術の説明の確認サイン、同意サイン、保証人や立会人のサインなど。たくさんの資料を読み、記入し、
必要なものをそろえ、仕事のめどをつけ、家族といない間の家事や食事の話し合いをし、爪をきり、おへその掃除をし(←準備するよう資料にかいてあったので)無事入院前日を迎えました。
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